『凍樹』 斎藤純 講談社文庫
エロぎりぎり!と言われたので、そのせめぎあいが愉しみで読んだのですが…があ。ぎりぎりというかあまりエロくもないです。
絵画やジャズや鄙びた美術館勤めとか自殺した彫刻家志望の恋人とか東北の山々の風景等、要素的にはエモーショナルなものが揃ってますが、ひとつとして丹念に描かず、均一にすることで硬質さを描こうとしたのでしょうか。
ジャズメンならもっと菊地成孔氏並みにあらゆる官能メディアをリアルで凌駕するような積極性がほしいですな!
SEXが無い恋愛小説ですが、それなら芥川の『秋』(縦書きでないのが残念ですが)でいいじゃん、と。
脚フェチでもない私ですが。短編だし、芥川のは。
高校現国教師が身体をくねらせて「『秋』は最高にエロいんだー!!」と授業中に叫んでいたのでクラスで次の日まわし読みしてました。さすがメーテルで鍛えたフェチズムを生かした視点を持ってた奴だけありました。
休み時間に『卍』討論をこっそりしてた、教師と生徒。
日本人って感じの官能。秋の冷たさを帯た湿度の中に白い踵が浮き上がるような描写が…そうか、描写が足りなかったんですよ『凍樹』!!
そういえば友人♀は浴衣を着た数人の女性がゆっくり下駄を脱いだり履いたりするだけの動作で学祭のステージを演出してました。
丸い踵が好きです。