『サウダージ』垣根涼介 文藝春秋 

michiru72005-03-16


『ワイルド・ソウル』は本当に面白かったです。去年読んだ中でカタルシスNo.1と言ってもいいくらいです。感想も常軌を逸してますが、まあいつものことかも。もはや。


コメントの最後に書いたとおり、その他の作品は読んでません。


その作者の新作なんですが、カヴァが好きじゃないので厭な予感がしててなかなか読めませんでした。内容が下品なのは構いませんがデザインや文章に品がないのは受け付けないです。


えー『ヒートアイランド』と『ギャングスター・レッスン』の姉妹編ということできっとアキ(アキくん→アーくん→あっくん)のビルドゥングススストーリなんでしょう。そしてもう一人の主人公、耕一は『ワイルド・ソウル』読まないとちょっと感情移入できないかもしれません。(せいぜい貴志氏の『硝子のハンマー』程度の移入)


テーマは「恋愛」。
アキはデザイナで大人でマナーもわきまえてセンスもよい和子、一方、耕一は金髪のふるいつきたくなるような白痴美人DDと各々一歩一歩かつおもいっきり振り回されながら進展させていくのですが、『ワイルド・ソウル』に比べたら教科書に載せられそうな控えめな程度ではありますが垣根氏の濡れ場はやはり変わってますね。


『ワイルド・ソウル』はアクションも登場人物の背景も恋愛も含め色々な点でカタルシスがありましたが、『サウダージ』はこれからも続くビルドゥングスものだけあってハッピーエンドにならないのもカタルシス減少です。とても文章はうまいので読みやすいんですけどね。
『ワイルド・ソウル』良すぎたので。