『滴滴集 歌集』小池光 短歌研究社

「婦人の口は常に浄し 果実を落さむ鳥の口に同じく」


「淋しき処にて己の母あるいは娘とともに坐してはならぬ」


ヒッポポータマス重吉は天に召され ひらける口の草の花園


和風喫茶に白玉だんご食うてゐつ男の孤独かくもまどかに


海に湧く霧はうごきてあけがたのすなの砂漠をぬらすひそけさ


ありありと戦ふ者の気高さは放射を遂ぐる一語一語に