『ゲイシャ笑奴』森奈津子 ぶんか社

ギャグがないエロ作品集でSFが(さほど)交じらないのは初めてではないでしょうか。
こんな私好みな作品集がついに出ました。普通に図書館で借りてますが。(あるから…)


最後によみましたが「あとがき」が、一番素敵です。
編集の方が普通の女性にも図書館で借りられるようにして下さったそうです。
「老若男女ゲイヘテロだれもが楽しめるレズビアン官能短編集」に感謝です。

ゲイシャの粋な都都逸もいいし、言葉も素敵。
ーー泣いたひょうしに覚めたが惜しい 夢と知ったら泣かぬのに
ーー逢えばさほどの話もないが 逢わなきゃ言いたいことばかり
ーー惚れさせ上手なあなたのくせに 諦めさせるのが下手な方


都都逸だけでほろっときます。こないひとは恋したことがないのです!
都都逸がある官能小説なんて素敵じゃないですか。


団鬼六氏は山口椿氏にインタビューした時(これは冗談ではなく)に「永遠のワンパターン」と評されていました。いや『花と蛇』は好きですけど。これだけ読めば私も充分です。
「型」で安心して読める方も居るのでしょうが、モリナツ先生の素晴らしいところは、相手を人間として貶めるのではなく、あくまで無意識に拒否してる「限界を超え」ていくところで、設定もバラエティ豊かだし、最終的にハッピーエンドになる点です。
綺麗だから、純粋だから、穢したいのではなく、相手を大切にしてるんです。

きっと西澤保彦ファンなら読んでも大丈夫なはず。
『両性具有迷宮』からでも良いし。この冒頭の美味しそうな呑み屋に私も行きたいものです。

ギャグの作品も素晴らしいのですがモリナツ初心者だとギャグとセクシイの振り子の幅についてけないかもしれないのでモリナツでエロもの(グラビアでなく枕絵派は特に)こちらをお勧め。

こんなにモリナツファンな私ですが、まだ人にプレゼントしたことはありません。