『ごくらくちんみ』杉浦日向子 新潮社
日向子ねえさんは美人で粋で酒呑みで漫画もエッセイも書いて15年程好きなままですぜ。
この6年間「もう隠居だからって…最後の『粋』人が消えちまったナア」とぼうーっとしてたら、ある日書店に並んでるじゃねえですかい。同姓同名の別人かとおもいましたが、字体といい、中身といい、ああ姐さんっと抱きしめたくなりやした。
様々な珍味を頂くニンゲンの物語が3頁のオムニバスってえんですか、そんなんで続くんですが、ああた、この1回の3頁がすごいのよ。
読んでて最後の1行ではつと胸を突かれるんでさあ。
オンナの意地や健気なとこがぶわっと最後に発(ひら)くんです。
それがわたしゃせつなくてねえ…。
そんなんが珍味の数続くんですよ。
ああ、オンナってオンナを噛みしめなきゃなんねえなって。
お酒が好きなあんたなら、やりながら読んだって罰はあたんねえ。
なあに酔いがまわったら明日読みゃ良いのさ。