『球形の季節』恩田陸 540円(税込)新潮社


これはホラーというより、心理小説っぽいです。(造語?)
屍鬼』を多少想起しましたが、田舎でもちょっと違います。


高校生の頃は、私も「早くここから出たいと」しかおもってなかった。
話が通じる人が少なくて、どうして自分だけいつも怒りを感じてんだ!?と、勉強に躊躇いなく没頭出来るクラスの人たちが違う世界の人間にしか見えなかった。
桃尻娘』から橋本治にはまってたり。その一連にはまっていったり。


でもこの作品はそこまでストレートな「怒り」を放出するのではなくて、「谷津」の磁場に歪められて、違う世界を「造ってしまう」。


恩田作品は割と「場所」の話が多く『球形の季節』はかなり好きです。
東北って寺山修司のイメージや恐山のイメージがかなり強すぎたので、この作品舞台は東北よりも東海っぽく感じます。


そういう創造が恩田作品ぽいなあと感じるのと、高校生の時が一番辛かったなあ、でも「田舎」に居られたから「独り」につよくなるなったのかなと。


エリート高校の『六番目の小夜子』は皆、未来へまっしぐらに進んでいるのでこういう世界は存在し辛いのですよね。