『囚人分析医』アンナ・ソルター(矢沢聖子 訳)早川書房


著者は司法心理学者。
性犯罪の研究では世界的に有名(らしい)。

これは4作目にあたるシリーズだが、初邦訳。何故なら2003年度のエドガー賞最優秀ぺーバーバック賞にノミネートされたから(きっと)。

当時専門家証人として子供に対するシステムの実態を訴えたい余り処女作は「まるで性犯罪に関するテキスト」のようだと評されたそうだ。

この本では、やはり頭が良い方は読者との距離も縮めるのが巧いらしく、ユーモアが満載。
そうだ、狂人と付き合うなら、より巨きな狂人になるか、交わすユーモア(力技)を身に付けるしかない。



頁をめくる度にユーモアがあって事件も起こって親子関係も恋人との関係も友人関係も職場関係もどんどん変わっていくし、行間にノンバーバル・コミュニケーションが浮かんでくる
描写が、あまり日本の小説にはない素晴らしさ。また「通常」の人々と「サイコパス」の目線、仕種が表現する違いなどもあって、テキストでもこんなに面白く読めちゃうなら大歓迎!

作り笑いは目に笑い皺がよらない。
マッチョな恋人のクローゼットにピンクのパンティが入っていた女性の友人を慰める方法。etc。
一冊の中にかなりのネタが仕込まれてる。無論、私好みの!

その上、主人公心理学者マイケル(♀)は妊娠八カ月。出産に不安を抱きつつ、恋人と一緒に住む煩わしさと安心感(いや、これだけでは語れないけれども!!!)、そして囚人へのグループカウンセリング。ハッキリ言って、どれかの状況1つだけで、充分本になる。

これは早川書房からですが、前作3つもとっとと翻訳してほしいッス!
講談社に持っていかれる前に!!


因みにおすすめされたのはここの7/2分で。