『「異邦」の扉に還る時』 島田荘司 原書房

この本と森博嗣の『数奇にして有限の良い終末を』には同じ密室で過ごした二人の記録が載っています。
11/10の事です。
島田荘司氏が森氏宅を訪れることを聞いた時は流石の森先生も「えっ」と驚かれたそうな。そんなことは森先生のほうには書いていなーい!ふふふ。
森先生を驚かせるなんて、やはりカリスマ。


島田氏の森宅の描写で、ガレージと庭しか知らない自分には「やっぱり趣味いいんだなあ」と安心というか意外というか…だってのんた君やキョロちゃんが家中にあるのかとちょっと心配だったし(笑)。
そんなことはスバル氏が防いだのか、森氏の慎みか。



そして何よりも!

ぼくは他人の家や家族をうらやましく思う習慣がないが、この家と家族にははじめてそう思った。居心地の良い居間で、夫人の淹れてくれたお茶を飲みながら、われわれはポルシェのこと、自動車一般のこと、ウラル・アルタイ・マンチュー・ツングース言語学のこと、EVのこと、フューエルセルなど未来機関のこと、高度の日本語を書ける人間だけがかつかつ食べられるようにできている日本のこと


島田せんせー!うらやましく思うのって「習慣」じゃないですよ!多分。
本当に素敵だと思った時だけですよ!いくら日本人でもそこまで全て羨ましがらないです!んもう、皮肉が上手いんだから。
これ以上引用するよりも読んで頂く方が絶対面白い!そして、まだまだ面白いレポートが続くので、ゼヒにお二人の対談集が出ると良いなと!幻冬舎あたり如何でしょうか?見城さん?



そして機関車に乗っているお二人の楽しそうな顔!お二人の作品のファンなのですが、生活が楽しくない人間には楽しい仕事も表現も有り得ないと私は感じているので、笑顔があるほうがやはりファンとしては嬉しいのです。別にファン以上でも良いけど。ってファン以上って何でしょう?



お二人には本当に楽しそうな時間だったご様子ですが、


とても楽しかったのだが、ぼくとしては自分の人生への反省しきりで、内心なかなか考え込んでいた。


とあります。森先生のエッセイのほうでは「ジェントルな方」という記述くらいしか特にありませんが、島田御大は考え込んでしまったようです。もしかしたら、分身である御手洗もそろそろパパになったりして…。
でも島田先生も御手洗も一人位はそろそろ心を許せる女性が登場しても良いと思うんです。子供の頃の話ではなくね。大きなお世話でしょうが。だって、あんな素敵なかたが勿体ないし、何よりもハルペルがナッカンドラ・スバースの面影があるルースへ向けた言葉が浮かぶんですよね(と言って分からん人にはFSSネタです、とだけ)。



『海と毒薬』も読みましたが…扱っている内容はヘウ゛ィなのに印象はさらっとしたものしかありません。
かといって『ネジ式ザゼツギー』並みの作品を読みたいかっていうと…。
レオナが御手洗の子供を欲しがるのが読みたいね。アイシャのソープへの求愛に等しい結末なのが可哀想だけど。(これまたFSS)