『カサブランカ帝国 百合小説の魅惑』佐々木禎子/〔ほか〕イースト・プレス2000/07


こてっこてのレズものかとおもってましたのよ。森奈津子先生の名前があるから。
で『エロチカ』読んだ後に、「これもまたあらゆる意味で煮えきらない短編集なんだろうなー」と気合い抜けたまま、ある意味、ここに書く為だけに読んでみた。

そしたら『エロチカ』より面白い(あれではイカン!と思ったので、後日、愛読者カードまで出した)作品が幾つかあるではないですか!
この本は、(モリナツの以外)ソフトで性描写も大してないのに、ミステリといっても過言でない上、オチまであるという作品があるのです。偉い!



『パラダイス・ガレージ』(佐々木禎子)女の子同士の秘密の恋愛感情というか…これはあまり感情移入しなかった。出て来る映画は好きなのが割とありました。


『泡になるまで』(樹川さとみ)これ、やられました…。おお、そんなオチとは!主人公の怒りの言い廻しはいただけないけど。


マリコに首ったけ』(金丸マキ)一番良かった。笑えるし。希望的な前段階のレズ作品。ちょっとしたミステリ入り。佐々木禎子さんと金丸マキさんのサイト「たららん商会」


『ホット・ブラッド』(高瀬美恵)主人公が出会う女の子のネタがバレた時は面白かった。


『お姉様は飛行機恐怖症』(森奈津子)お笑いだったのに、後半、展開にびっくり。いや、そうこなくっちゃ!


『スイーテスト・メモリーズ』(川西由樹子)これは、恐いよ…。普通のレズビアンものと視点が入れ代わる瞬間がある。こういった視点のものを読んだのは、レズビアンものでは初めてかも。


『新しい扉』(松本侑子)老練な筆致の作品。現実感がなさ過ぎる気もするけど、日本ではなく西海岸だったら、これでOKかな。