中井英夫『虚無への供物』。

また帯が京極と綾辻なんて!イカス。

中井英夫の『虚無への供物』は戦後4大ミステリに分類されているので読んでみたのですが、推理か探偵か…分からないですね。さすがアンチ・ミステリ。
文体の雰囲気が好きなんです。(耽美でも野ばら氏の文体は読みたくないのですが)
江戸川乱歩が好きな方には良いかも。
乱歩といい、谷崎潤一郎といい、日本はほんと色気のある文章が充実していましたね。陰翳絶讃派。
中井英夫は正しい(?)耽美です。粘着性のある耽美ではなく、また三島のように豪華絢爛な薔薇刑の肉体派でもないので…。江戸川乱歩や大正時代の文体が好きな人なら問題ないかとおもいます。

三大奇書:日本の本格探偵小説史上、結果としてターニングポイントとなった
夢野久作ドグラマグラ
小栗虫太郎黒死館殺人事件
中井英夫「虚無への供物」
     

埴谷雄高氏らはこれに、久生十蘭などの異色作家を含めて、「黒い水脈」とも読んだ。また、竹本建治「匣の中の失楽」を含めて「四大奇書」と呼ぶ人もいる。
註 奇書の奇は、奇妙だとか、怖いとか、珍しい、という意味に近い。
  「新本陣殺人事件」のような駄書とは一切関係ない。

アンチミステリ:中井英夫に帰される用語。
主題と形式双方に関してミステリの意味を否定しようとするミステリ。
自然メタミステリーと類似した構造を有するが、
先鋭的かつ自滅的な否定的意志に貫かれていることが素晴らしい。
上記の「三大奇書」はその典型。