『ソムリエ世界一の秘密  田崎真也物語』重金敦之 朝日新聞社

てっきり漫画の『ソムリエ』みたいな生い立ちかとおもってたら…!!

海員学校一年の時、19歳と偽り、スナックを一軒まかされた。島人との付き合いで、4人で飲みにいくとビールが4ケースあり、飲まないと帰れない。トイレも20秒しか猶予がないから20秒で噴水のように吐いて、戻る。

18歳で『パリの料亭』を読み、ラセールに憧れマキシム・ド・パリに移ることを希望したが縁がなくイゾルデヘ。TVやラジオでフランス語を学習。

「サービスの勉強でフランスへ行くやつは、俺ぐらいのものだろう」
たいしておいしくないものを作るくせに、威張るだけ威張って表のサービスの仲間を虚仮にした中の連中を見返してやりたいと思っていた。

最高、かつ偉大なワインは、コート・ドール地区で生まれる。

料理の腕は、シェフの腕にもよるが、サービスの人間の技術にもよるという考え方はまちがいないと自信をもっていえるようになった。

妻・寿美子「フランスにいる時はきちんとエスコートしてくれるのに、日本に戻ると途端に典型的日本人に戻る」
「外交官夫人になるより、僕と結婚したほうが絶対に面白くて仕合せだったとおもうよ」
「もう別れるというと『ここまで一緒に苦労してきたのに、ここで別れたらもったいないじゃない』」

田崎の言葉は田崎の身体から出てくることに、有馬は羨望と嫉妬を覚えた。「ヴィノテーク」の有坂芙美子から
「ワインの仕事をする気なら、本を読むのもいいけど、ワインを一本買って、全部飲む必要はないから、そのワインが駄目になるまで舌をワインで湿らせておくのよ。安いワインでも構わないから」

例えばシャンピニオンというと、キノコの種類と季節が頭の中に浮かんで、関連するソースが広がっていって、肉や魚と有機的につながっていくといった感じ。

世界最優秀ソムリエコンクールの学科試験は、栽培、醸造、生物、地理、法律、ソムリエの実務、ワインリストなど、主にワインを中心に選定されている、


学科試験の例:シェリーの生産過程で"フロール"を作りだす酵母は何という名前か。


テイスティング:同じ白でも麦わら色からレモンイエロー、さらに黄金色まで多彩だ。目で見ることによって、そのワインの素性がかなりわかる。隠されたワインの銘柄と収穫年を当てるにこしたことはないが、そう簡単に当たるものではない。
そこで、色、香り、味に対する表現、総合評価、料理との相性の考え方などを説明してその正体に近づいていくわけで、推論のプロセスに筋道が通っているかどうかが大きな採点の対象となる。色で大枠が決まるので、色の濃淡で熟成の具合というか気象条件を推し量る。
当たったかどうかではなく、ワインをどう評価していかに表現するかが大事。


メニューに合ったワインを4本選び、その後、食事の全てに合うように2本、なんとスパークリングワインで食事を通したいという気まぐれな客にワイン選ぶ。そして各々、理由も。

ワインの知識やテクニックよりも、人に気をつかうことを徹底的に教えこむ。またその気の使い方を田崎自ら常に実践して、後輩に気づかせようとしている。

「二人で食事をするのですから、同じ料理を食べないと料理のおいしさや喜びを共有できないと考えるのです。違う料理を半分ずつ分け合うということはしません。一皿が完成品であって、その量を食べることでその料理の精髄が理解できるというのです」