『てんぎゃん  第一章おのれの花』岸 大武郎集英社

彼岸



熊楠ものは内田春菊の『クマグス』を読み、中沢新一氏の『森のバロック』を読み、山本政志監督の町田康扮する南方熊楠の「熊楠KUMAGUSU」(完成したんでしょうか?友人Sが義援金出してました)を10年近く待ってる状態です。


この漫画を貸してもらったので10年ぶりに想起しました。


熊楠が日本を飛びだし、倫敦に向かう寸前にやっとグアレクタ=クバーナの発見によって世界的新発見を起こす迄が描かれてますが、2巻はあるのでしょうか…。ジャンプで熊楠ですからねえ。ブームに乗って連載してたんでしょうけど。
下記は2001年の山本監督インタビュー。

※と、ここでビデオに落とした『熊楠KUMAGUSU』パイロット版を見せていただく。すげええええ! 熊野の森の空撮。ずうっと続く那智の森の中の渓流沿い。町田町蔵(町田康)扮する熊楠が植物採集してる。鼻歌。大自然の中で、わけわからん歌が……。「こりゃ珍しい、紀州シダや」「はい……」「なんや日本語しゃべるんかい。てっきりフランス語しゃべんのか思うた。まそういう時はエスペラント語で殴ったろ思とったけど」とかニヤニヤしちゃう会話があって、嶮しい自然の中のとぼけた、あるいは美しいシーンが続く……。

            • ……はじめての字幕無し作品に?

●山本:「いや入るよ。いろいろと」

            • こんな山奥の描写、どうやって撮るんですか?

●山本:「クレーン入れたからな。土台工事とかしたんだよ……ああ、ここ、何カ国語かしゃべってる。……でもまあ、緑がほとんど主役だからさ。大変だよ、撮影全然進まないんだもん……。(田にそよぐ風の描写、標本箱や古書だらけの旧日本家屋。その緻密なリアリティ)……音楽は近藤(等則)さんだから、これは仮のだけど」

            • すげえ。さっきの渓流あたりの激しい雨は本物の雨ですよね?

●山本:「あれ降らしたんだよ」

            • ええ?


●山本:「えらい降らしたんだよ。……(雄大な光景などが続く)……レール16本引いたからなあ……」

            • これは4億5千万円かかるわ……(すでに撮影した分だけでそれだけかかってるとのこと。広告批評5月号のインタヴューによると、それでも「使えるところは正味20分くらいかな」という……)。

●山本:「これはラストシーン……死んじゃったところ。オプチカル(処理)のマーキングがついてるけど。蝶は3千匹使って。これは熊楠の粘菌……(微細な顕微鏡映像によるイマジナブルな生命描写)……ま、こんな感じ、面白いでしょ?」

            • すごいです! よけい早く観たい!ですね。

●山本:「こういうの引っかかってるとね、全力投球しないのよ。無理。エネルギー使うからな、『熊楠KUMAGUSU』は。でも、ここ3本、軽い路線でなかなか俺としちゃ、好きだけどね。『JUNK』なんか、すごい終わった後も体力残ってるモン。それまではヘトヘトだったんだけどな」