『されど修羅ゆく君は』打海文三 徳間書店

『裸者と裸者』の文体と全然違う!
1996年の『されど修羅ゆく君は』の方が若さがない。
『裸者と裸者』は(2004年なのに)私は読んでて「誰だっ、この若い作者は!」と乙一並みの瑞々しさを感じて、その感覚に嫉妬すらしていたのに。

畏るべし、打海氏。(だから近影載せないで下さい…。遠影かアラーキーに撮ってもらって下さい)
表紙が宇野亞喜良氏で解説は馳星周氏。この解説は名文だとおもいます。

彼の文章は洗練されており。彼の描く人物たちは陰影に富み、彼の産みだす物語は爽やかさに満ちているーーストーリー自体は現代社会の歪みを真正面から捉えているにもかかわらず、だ。

ハメットのように厳しくはない。かといってチャンドラーのように甘いわけでもない。

女性がリードするハードボイルド。

『兇眼』にはハードボイルド・ウネ子が再登場するらしい。
進化する作家って最近珍しいですよね。