『科学の最前線で研究者は何を見ているのか』瀬名秀明 日本経済新聞社


自分が世界の王で、各分野の博士に研究成果を発表させているような気分になります。

もー面白!
かつての『DEATH NOTE』のライトとLの心理戦の時代のようにドキドキしながら「宇宙と地球とヒト」を解き明かそうとしてる学者の皆さんの発表を聞いてました。いや、読んでました。
瀬名氏が学者の皆さんの熱意を彼のフィルタで「物語」にしてくれているのです。
だからバリバリ文系の私にも面白いのです。研究したいけど無理なんで、発表をお聞きましょうという姿勢です。

では報告をダイジェストで聞きましょう。


(敬称略)


馬場悠男:幼稚園は成長スピードが速いのに小学生では非常にゆっくりなのは、エネルギーを脳の神経回路発達に集中させるため。小さくかわいくよい子なら親の世代も教えてあげようという気持ちを持ちやすい。


白澤卓二:75歳以下の人は臓器が若いんですよ。逆にどう見ても老人の臓器というのは75歳以上。


ドーパミンは少ないとパーキンソン病になったり無気力になったりするが多過ぎると幻覚を見たりする。


安田喜憲:ヨーロッパの山には森がない。日本では二次林が生えてくる。それを里山の農業に利用する。
日本で理科離れが起きたのは、理念がないのではなく、物語をなくしたから。


アニメで「世界観」がよく論じられるけれど、コスモロジーという言葉をこんな具合に使うようになったは日本が初めてではないか。


鉄腕アトム最大の功績はインターフェースの重要性を説いたこと。


酒井邦嘉:『言葉のない世界に生きた男』では一番苦労したのは、時間の概念を教えること。


いくら考えても分からなかった問題がしばらくして違った点から再考するとああ分かったとなる。これを「アハ(aha)体験」と呼ぶ。


阿部謹也氏は「自分が社会の中でどのような位置にあり、社会のために何ができるかを知っている、あるいは知ろうとしている状態」を「教養」と呼んだ。


茂木健一郎ヒューマノイドはいかにしたら実現出来るか。チューリングマシンの限界、メタコグニションを作るには?


中島秀之:マイボタン、自分以外使用できないよう指紋認証等で使う。


歴史学者のクロスビーは1918年のスペイン風邪で「何千万人も死んだ事実を、今では誰も覚えていない。それがなぜなのかわからない」と記した。


古澤明:「量子もつれ」量子は互いに離れていても影響をあたえている。そこから(アインシュタインのパラソックスから生まれた)「量子テレポーテーション」が出来る。


関 実:マイクロ流体デバイス。一マイクロリットルで実験が可能であり、半分が有効に活用できる。


福江 純:降着円盤(UFOでなく、原始星、ブラックホールなどの周辺に形成された高温ガス円盤でしばしば強烈なエネルギー源となる)星の生まれる瞬間や死ぬ瞬間については未だ分かってない。
『SFアニメを天文する』(『SFアニメの科学』で文庫化)の著者。


平朝彦:地球は水の惑星でもあればメタンハイドレードが海底にびっしりつまった「メタンの惑星」でもある。


佐藤哲也:地球シュミレータセンター長。


佐藤勝彦:宇宙の96%は謎。

人間原理」:世界の中心に人間を置く。物理の法則や価は人間を作りださないから、観測はできない、と考える。「実験や観測によって確かめることはできない」