『紅楼夢の殺人』芦辺拓 文芸春秋1,950円(税込)

結構厚いので、休日に4時間程かかりました。
文系男子がはまるようには中国の歴史文学にはまってないので、紅楼夢と聞いても、漫画化された『金瓶梅』や山田御大『妖異金瓶梅』位の連想しか出来ません。でもそれで充分です。

絶世の貴公子と少女たちが遊ぶ理想郷で、謎の詩句に導かれるように起こる連続殺人の真相とは?中国最大の奇書『紅楼夢』を舞台に、著者が放つ入魂の本格巨篇。

旧中国には犯罪と謎解きの「公安小説」が存在していたそうです。
公安=特高ってイメージが浮かびますが、なんとなく。


人物系図や紹介で3頁あるので、もう読むの止めちゃおうかなー、どうせ混乱して判らなくなるし、初めての読む作者の作品ならもっと薄いのから読まないと…と思いつつ、でも日記に書いちゃったから感想聞かれるよ…話題作だしいとかなり消沈しつつ第一回目を読みました。
そして第二回目のあたりでは、さほど気にならなくなりました。それどころかどんどん美少女が減っていくので人物関係がシンプルになり(うわあ)読み易いです。


出来る限り現代語に訳せるものにはルビを振ってくれているし、舞台は豪奢だし、キャラはもっと際立たせてもよいような気がしますが、ライノベじゃないし、最終回には、とんでもなく素敵な種明かしがある。

犯人の名を指摘すること自体には何の意味もなかったんだよ


確かに、この時代ではそうだ…。

普通そうするように謎を解くかわりに、自ら謎を作創り出したわけですね。あくまで<探偵>として、真犯人を断罪するために

しかも、シリアルキラじゃなかったんですねえ。
もう、犯人は一人っていうのが、無意識でフェアになってしまっているので、あー、やられた!やられました!