『ナイン・テイラーズ』ドロシー・L・セイヤーズ/著 浅羽莢子/訳 創元推理文庫1998年02月東京創元社


ナイン・テイラーズは「九点鐘」のこと。教会の鐘です。
セイヤーズはクリスティと並び称される、英国ミステリ黄金期の女王。この作品が実は初めての作品なのですが森 博嗣先生もお勧めだから大丈夫でしょう。



貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿シリーズ」の8作目。彼女の代表作らしい。



「九点鐘」の作法が色々出てきますが、いつものこと。分からなくてもずんずん読んでいきます。そして、別に分からなくてもウィムジイ卿は必要なとこは解説をしてくれるし。フェアだわ(笑)。



キャラクタは作者の品格と構成の元にきちんと動いているし、ピーター卿と忠実な従僕バンターのやりとりも作品群のなかでスパイスが効いているだろうなと。萌絵と諏訪野ね。



流石に、ラスト近くでネタは割れましたが、そこに至る迄は、ウィムジイ卿のノーブルな言動に酔ったままだったので楽しい時間が過ごせましたと。



今だと破天荒なキャラが多いけど後50年もすれば「礼儀正しい人物」に観られていくのかな。