『文人悪食』嵐山光三郎 新潮社 

メールでお勧めしてもらったのもありますが、何より菊地成孔氏がベスト100冊(半分位は音楽理論書)に挙げられていたので読みました。


文人一人一人の家族への接し方や食事の好み、また自分でも包丁を握るか、そして文章に「料理」を遺したかなどあるのですが、圧倒的なので一気読みすると胃がやられそうで、ゆっくり読みました。
ほむほむの『現実入門』は1日ですが『文人悪食』は2週間かけました。


睡眠薬とか神経症とかも頻出し、粗食なくせに一日4合も玄米を食べる宮沢賢治とか借金しても全く平気な方々とか、ライバル同士だったり岡惚れされたり、食欲と性欲が大変なことになってます。睡眠欲にはたいして触れてません。


『百年の誤読』と併せて読むと非常に愉しめます。でも『百年の誤読』は菊地氏の好みじゃあ、ないでしょう。


大谷崎は歯が悪かったので食の好みも柔らかく水分が多いものを好み、また文体にも反映されていると。あの『陰翳礼讃』が自分の今の年と変わらないなんて、いやあ変でもまだまだ突き進む未知の道はあるのだなあという後押しの手を借りたという気がしています。