『火車』

10年前の作品。
10年前とは思えない古さを感じます。それは自己破産がもっと身近になっているからか、知り合いにも数人いるからか分かりませんが。犯人もその被害者も大して悪漢ではないし、かといって救いようがない底なし沼だと感じることもできなかったです。(東野の『白夜行』は根っからの悪漢で快絶、もはやピカレスクです)唯一恐怖を感じたのは「お父さん、お願いだから死んでいて」です。宮部の作品には「優しさ」偽善を感じる。もう、ここでハッキリさせよう!人間は何か=器と徳これが明確になっているのが森博嗣作品とFSSなんです。あ、『スカイハイ』もそうですよね。仏教とか宗教ではなく、人間が本当は気付いているのに、おためごかしをして理屈をつけているだけでしょう?なんて、ここまで、大袈裟に表現をさせるなんて、やはりこれは名作なのかもしれませんね。